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関東の諸都市・地域を歩く


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#173 香取神宮から行方市麻生へ ~霞ヶ浦周辺の地域を巡る~

 2020年9月15日、千葉県東部の香取市、香取神宮を訪れました。香取神宮は、鹿島神宮、息栖神宮とともに東国三社の一つに数えられる、我が国においても屈指の古社として知られます。利根川の右岸、台地上の緑に包まれた場所に香取神宮は鎮座しています。社殿では創建は初代神武天皇18年、下総国一宮でもある神社の参道沿いには、昔ながらの土産物店が建ち並んでいまして、古来より多くの信仰を集めてきたことが伝わります。

香取神宮・参道の商店街

香取神宮・参道の商店街
(香取市香取、2020.9.15撮影)
香取神宮

香取神宮の鳥居
(香取市香取、2020.9.15撮影)
香取神宮・表参道

香取神宮・表参道
(香取市香取、2020.9.15撮影)


香取神宮・石鳥居と総門
(香取市香取、2020.9.15撮影)

 赤い鳥居の下をくぐり、緑濃い楓がそよぐ表参道を歩いて行きます。参道には寄進によると思われる石灯籠がたくさん並んで、参拝への気持ちが少しずつ高まっていきます。朱塗りの総門前の石鳥居をくぐり、石段の上の総門を抜けますと、1700(元禄13)年造営の楼門へ。入母屋造の朱塗りの楼門はとても秀麗で、均整のとれた姿はたおやかな表情を見せていまして、やさしく、そして大きい包容力を持って、それは参詣客を迎え入れてくれているように感じられます。

 楼門と同じ1700(元禄13)年建立の本殿は、国の重要文化財の指定を受けます。流麗な檜皮葺の屋根は周囲の社叢の緑にしなやかにつながっているように感じられます。香取神社が造営された古代、利根川は現在の流路ではなく、霞ヶ浦のある一帯は香取海と呼ばれる内海でした。鹿島神宮や香取神宮の鎮座した地は、その内海に面していて、大和朝廷における、北方の蝦夷と戦うための重要軍事拠点という位置づけでした。そうして古の時代から重要な地位を占め続けてきた神社は、由緒ある古社として、爾来多くの厚い信仰を受けることとなり、現在に至っています。

香取神宮楼門

香取神宮楼門
(香取市香取、2020.9.15撮影)
香取神宮

香取神宮
(香取市香取、2020.9.15撮影)
麻生藩家老屋敷記念館

麻生藩家老屋敷記念館
(行方市麻生、2020.9.15撮影)
麻生陣屋商店街

麻生陣屋商店街
(行方市麻生、2020.9.15撮影)

 香取神宮の参詣の後は、国道51号を進んで利根川を渡り茨城県内へ、常陸利根川を越えた先、霞ヶ浦に面する麻生の町へと進みました。麻生町は2005(平成17)年、近隣の玉造町、北浦町と対等合併して行方市となり、現在では行方市の一部となっています。江戸時代には麻生藩の藩庁所在地として一定の中心性を持っていたこともあり、麻生地区には地裁支部(簡裁・家裁)が置かれていて、鹿嶋市、神栖市、潮来市を含むエリアを管轄しています。自家用車を市役所分庁舎に止めて、麻生藩の城下町を基礎とする町並みを歩きます。麻生小学校の南東には、麻生藩家老・畑家の屋敷が、「麻生藩家老屋敷記念館」として一般公開されています。訪れたこの日は開館日ではなかったので拝観することはできませんでしたが、茅葺の外観は外側から垣間見ることはできました。

 麻生小学校の敷地には、江戸時代麻生藩の陣屋が所在していました。そのため、家老屋敷をはじめ、藩に関係する事跡が穏やかに残されています。家老屋敷の三好家や、武家屋敷が立ち並んでいたことを思わせる町並みが小学校を囲むように連なっていまして、昔ながらの地域の中心地としての佇まいを見て取ることができました。蓮城院などを拝観しながら、町並みを南に横切り、霞ヶ浦の湖岸へ。太平洋岸へとつながる霞ヶ浦は、長い間重要な舟運の拠点として機能し、麻生地区にも「新川河岸」と呼ばれる河湊がありました。水上交通は衰退し、漁業の部隊としての役割も限定的となるなかにあっても、水郷地区としての穏やかな風景は現在でも感じることができまして、漁業組合にほど近い場所には、水神宮が祀られていました。

蓮城院

蓮城院
(行方市麻生、2020.9.15撮影)
武家屋敷街を思わせる景観

武家屋敷街を思わせる景観
(行方市麻生、2020.9.15撮影)
麻生港

麻生港
(行方市麻生、2020.9.15撮影)
北浦の風景

北浦の風景
(行方市山田、2020.9.15撮影)

 麻生の町歩きを終えた帰路、北浦の風景を眺望しようと、行方市の北浦庁舎近くの湖岸に立ち寄りました。丘陵と丘陵の間を埋めるようにある湖水は、午後の光を受けて軽やかに波立っていまして、台地と低地、そして広大な湖面とが連続的に広がる、この地域らしい風景に接することができました。


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