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関東の諸都市・地域を歩く
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#172 長瀞秋の七草寺巡り2020 ~盛夏の空気を残した秋爽~ 2020年9月9日、毎年恒例にしている長瀞・秋の七草寺巡りのために長瀞駅を訪れました。午前9時30分前、松波に包まれたレトロな長瀞駅舎を出た先、駅前の商店街の向こうに見える空は夏の明るさをわずかに残した色をしていて、その残照を宝登山の山並みに向けていました。キバナコスモスが咲く参道、ゆるやかに登る町道を歩き、最初の寺である、撫子の不動寺へ歩を進めました。
まだ青々とした落葉樹の木々の下、宝登山ロープウェイの駅の脇を通り、不動寺へ。残暑が厳しい陽気にあって、山沿いの不動寺は木陰では一時の涼に浸れる喜びがあります。その心持ち風がやさしい参道に沿って、かわいらしい桃色や白の撫子の花が点々と咲いています。長瀞の待ちにほど近い高台にある不動寺からの帰路は、その長瀞の町の家並みを俯瞰できるルートでもあります。たおやかな山並みを眺めながら、宝登山神社の境内前に戻り、参道の脇の集落を縫う小道へと入っていきます。 残暑が厳しい陽気でも、秋の気配は濃厚に地域を染めつつありまして、コスモスや露草などの草花がしっとりと路傍に咲いて、晩夏から初秋にかけて長く花期を保つ百日紅の花を見上げていました。水田の稲穂も頭を垂れつつある前を歩き、長瀞第一小学校の横で国道を歩道橋で越え、秩父鉄道の踏切を渡ると、女郎花の寺である真性寺に行き着きます。境内の前に広がる女郎花の花畑は、この年もいっぱいに黄色の花を付けて、参詣者を出迎えていました。秋空とはいえまだ灼熱の夏の色を十分に溶け込ませた屈託のない空色と、秩父の山並みに並んで、女郎花の黄色の花はとびきりの輝きを見せていました。
金石水管橋で荒川を渡り、右岸にある二ヶ寺のうちのひとつを目指します。数日前の降雨の影響か、荒川は土色の水流を渓谷に流下させていました。オートキャンプ場の森を抜け、畑地が多くを占める集落を抜け、藤袴の寺である法善寺へ。参道のシダレザクラの枝の下を入り、小ぢんまりとした境内へ。本堂の横の庫裏の前のささやかなスペースに、園芸種も含め藤袴が植えられています。百日紅の並木が鮮やかな県道をさらに進み、高砂橋で荒川を渡り、桔梗の寺である多宝寺へ。酷暑の影響もあってか、夏季から咲き続ける花期を過ぎていたようで、花は本堂の前にわずかに咲いているだけでした。立秋の時季にはまだ美しい花をつけていたのでしょうか。国道の交差点にあるコンビニで小休止した後は、山沿いに点在する二ヶ寺を目指し、ゆるやかな起伏のある集落の中の道を歩いて行きます。 萩の寺である洞昌院へは、桑の木が脇に繁茂する参道を歩きます。入口近くには萩がたくさん植えられていまして、赤紫や白の花をたくさんつけていました。こちらにも萩が両側に繁る石段を登った先の本堂の前にも萩はあって、まさに萩の寺にふさわしい風情に浸れる境内です。隣接する天満宮の前を通り、山に分け入る沢沿いの道を進んでいきます。この沿道には高窓のある民家が残されていまして、養蚕が主要な生業の一つであった歴史をそれは伝えています。葛の寺の遍照寺へはここからさらに山道に入り、急登を経て到達することとなります。境内には葛の花が咲く棚があって、周囲に甘い芳香を漂わせていました。
遍照寺から落葉樹に覆われた山道を下り、国道に出て、七草寺最後の尾花の寺・道光寺へと向かいます。秩父鉄道樋口駅手前で踏切を渡り、荒川沿いの道へ、樋口駅東側の飲食店のあるエリアを経て、白鳥橋へ。三度荒川を渡り、道光寺へと辿り着きました。境内には、ススキの他に穂の大きいパンパスグラスも植栽されていまして、秋らしいススキの原の風情を感じることができるようになっています。七草寺巡りはこれで締めくくりとなり、再び白鳥橋を渡って線路の下をくぐり、樋口駅に到達してゴールとなります。秋の七草寺巡りの時季は、近年は残暑がまだまだ厳しいことが多く、この年も真夏日の暑さに難儀をしましたが、それでも随所に認められる秋の風景に癒やされながら、全行程を踏破することができました。 |
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