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都道府県花暦

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13.ナノハナ(千葉県)

ナノハナ(菜の花)と一般に呼ばれるのは、「アブラナ」の花です。あたたかい地域では2月ころに咲きそろいますが、一般には4月ころに花をいっせいに咲かせ、畑一面を温かい黄色に埋めつくします。アブラナ以外のアブラナ科の植物でも、菜の花に似た花を咲かせますので、それらを指して「菜の花」と呼ぶことも多いですね。満開の桜の下で目の覚めるような黄色の絨毯を作りあげて桜の美しさを引き立たせながらも、自らの鮮やかさをもしっかりと主張しているようにも感じられます。春の花は数あれど、ナノハナがそれらのうち、主役級の役割を担っていることはほぼ間違いないであろうと思います。

菜の花の利用価値は高く、葉やつぼみを食用にするほか、菜種は食用や灯火用の油(いわゆる「菜種油」)の原料になるため、古くから盛んに栽培されてきました。現在では、伝統的に栽培されてきた在来種に取って代わって、より収量が多く、丈夫で栽培のしやすい、西洋種のナノハナ(セイヨウアブラナ)の作付けが主流となりました。なお、切花用として出荷される菜の花は実はアブラナではなく、観賞用に開発された種類なのだそうです。


菜の花

ナノハナ(YSK画)

南房総は、温暖で霜が降りないという気象条件を生かして、裏作(水田の稲を植えない時期に稲以外の作物を作付けすること)として露地の花卉栽培が盛んになりました。花卉組合が結成されたのは大正時代なのだそうですが、現在のように、花畑に色とりどりの花を取り揃えて、それらを自由に花摘みをして楽しむ花畑の形式が普及したのは1970年代中ごろからになってからなのだそうです。千葉県南部では、早くも1月からナノハナが咲き始めて、関東地方では、いち早く春が訪れる地域の1つですね。そういったぽかぽかしたイメージには、ナノハナの温かい黄色は実によくマッチするような気がいたします。

朧月夜に、桜の薄明かりのもとで、ぼおっとした黄色をほのかにはためかせるナノハナは、春の宝石のごとき珠玉の輝きに満ちています。「菜の花畑に入日薄れ、見渡す山の端霞深し・・・」

菜の花の薄明かり咲く駅舎かな


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