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東京優景 〜TOKYO “YUKEI”〜

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#78 霞が関から虎ノ門へ 〜再開発が進む都心の風景〜 (千代田区・港区)

 2019年4月16日、前日に引き続き通院のため東京を訪れました。この日の診療は短い時間であったため、その前の時間を利用して霞が関周辺を軽く散策しました。都心における有数の緑地である日比谷公園は、江戸時代初頭まで存在した「日比谷入江」を埋め立てたエリアに存在する本格的な都市公園です。春空の下、輝く照葉樹と、芽吹き始めた広葉樹のコントラストが温かみを与える公園の緑はとても眩しくて、霞が関の官庁街をはじめとするビル群と好対照をなしていました。

日比谷公園・霞門

日比谷公園・霞門
(千代田区霞が関一丁目、2019.4.16撮影)
日比谷公園

日比谷公園
(千代田区日比谷公園、2019.4.16撮影)
日比谷公園

日比谷公園の風景
(千代田区日比谷公園、2019.4.16撮影)
日比谷公園越しに望む官庁街

日比谷公園越しに望む官庁街
(千代田区日比谷公園、2019.4.16撮影)
西幸門前交差点

西幸門前交差点から虎ノ門ヒルズを望む
(千代田区日比谷公園、2019.4.16撮影)
虎ノ門ヒルズビジネスタワー

建設中だった虎ノ門ヒルズビジネスタワー
(千代田区内幸町二丁目、2019.4.16撮影)

 春のきらめきに溢れる日比谷公園内を歩きます。藩政期は大名屋敷地であった公園の場所は、明治期の一時期は練兵場になり、後に「都市の公園」として計画されて、日本初の近代的な洋風公園としての日比谷公園が成立しました。新緑の季節を迎えて園内の木々は新鮮な色彩を呈していまして、迸る噴水も豊かな光量を青空に反射させていました。霞が関の官庁街と日比谷公園の間を抜ける都道301号を南へ、再開発が行われている虎ノ門方面へを歩きます。ちょうどお昼休みの時間帯を迎えて、ビジネス街は多くの人出で賑わい始めていました。オフィスビルが建ち並び、窓が春の光を照らすビル群をさらに歩いて行きますと、虎ノ門ヒルズを中心とした再開発地区へと至りました。虎ノ門ヒルズは2014(平成26)年に地上52階建ての超高層ビルとして竣工、足許を環状2号線が貫通するという特殊な構造となっていることでも注目を集めました。訪問時現在、隣接する街区でさらなる超高層ビルの建築が進んでいまして、都心における有数の再開発地区の風景は日々変化しているようでした。

 虎ノ門ヒルズには、開放的なアトリウムが設けられ、緑がふんだんに配された外周の歩道を進みますと、環状2号線が地下を通過する上に「オーバル広場」と名付けられた芝生のオープンスペースが整えられています。大都市のビル群の中にぽっかりと浮いた現代の箱庭のような広場には、想像をかき立てるオブジェや立体的な公園の構成も相まって、温かい日射しに恵まれたこの日は、多くの人々が訪れていまして、思い思いに昼の休憩を楽しんでいるようでした。広場の西側には環状2号線への視界が開けていまして、桜田通りとの交差点の下で目下工事が進んでした東京メトロ日比谷線の新駅の作業の進捗具合も俯瞰することができました(新駅・虎ノ門ヒルズ駅は2020年6月に暫定開業)。

虎ノ門ヒルズ前

虎ノ門ヒルズ前、愛宕グリーンヒルズを望む
(港区虎ノ門一丁目、2019.4.16撮影)
虎ノ門ヒルズ

虎ノ門ヒルズ(右)と同ビジネスタワー(左)
(港区虎ノ門一丁目、2019.4.16撮影)
オーバル広場

虎ノ門ヒルズ前から環状二号線(新虎通り)を望む
(港区虎ノ門一丁目、2019.4.16撮影)
虎ノ門ヒルズ

虎ノ門ヒルズ、オーバル広場へ向かう歩道
(港区虎ノ門一丁目、2019.4.16撮影)
オーバル広場

オーバル広場から環状二号線、地下鉄新駅の工事現場を望む
(港区虎ノ門一丁目、2019.4.16撮影)
オーバル広場の風景

オーバル広場の風景
(港区虎ノ門、2019.4.16撮影)

 虎ノ門の再開発は、先行して完成した虎ノ門ヒルズのほか、同ビルの南北にビジネスタワーとレジデンシャルタワー、そして桜田通りを挟んだ西側にはステーションタワーが建設され、虎ノ門駅付近に建設される地下通路や、南側の愛宕山地区の超高層ビル群(愛宕グリーンヒルズ)へとつながる都市と緑とが隣り合うような街区となるよう計画されているようです。愛宕山は天然の地形では23区内でも最も標高のある丘陵ですが、周囲の都市化に伴ってその山並みも見通せない場所も多くなっているようです。オーバル広場から虎ノ門三丁目交差点へと降りて、地下鉄新駅の工事が目下進行中の桜田通りへと向かいます。道路の両側や中央付近には工事中の柵やカラーコーンが夥しい量で連なっていまして、新陳代謝を絶えず繰り返す大都市の日常を感じさせます。環状二号線の交差点からは、東側に、同道路がオーバル広場を上に載せて貫通していく様子を確認することができます。2023年夏を目途に建設が進む、虎ノ門ヒルズステーションビルと虎ノ門ヒルズとの間には、桜田通りを跨いでデッキが建設される予定で、ビルのたもと、環状二号線交差点の西南角に整備される虎ノ門ヒルズ駅の駅前広場とも相まって、再開発地区を象徴するようなオープンスペースが完成することとなるようです。

 桜田通りをさらに北へ戻り、虎ノ門交差点へ。霞が関の官庁街へとつながる一帯はオフィスビルが多く立地して、大都市東京のまさに中心街区の一角を担うエリアの活気を存分に感じさせていました。虎ノ門という地名の由来は、その字面が端的に示すように、藩政期、江戸城外堀に設けられていた「虎之御門」という桝形の門があったことによります。外堀通りはその名のとおりかつての江戸城の外堀を埋めて道路の敷地としたもので、明治期の地勢図を確認しますと虎ノ門交差点の位置に、外堀に架かる橋と枡形が描かれています。なぜ「虎ノ門」なのかという点では諸説があるようで、虎は方角を示すことから城下町建設の際に採られたとではないかとも考えられます。虎ノ門駅前に建設中のビルを一瞥しながら、霞が関へと戻りました。

虎ノ門ヒルズステーションビル工事現場

虎ノ門ヒルズステーションビルの建設現場
(港区虎ノ門一丁目、2019.4.16撮影)
地下鉄新駅の工事現場

地下鉄新駅の工事現場、オーバル広場を望む
(港区虎ノ門一丁目、2019.4.16撮影)
環状二号線

虎ノ門ヒルズ下を貫通する環状二号線
(港区虎ノ門一丁目、2019.4.16撮影)


地下鉄虎ノ門駅・建設中のビル
(港区虎ノ門一丁目、2019.4.16撮影)
霞ヶ関の風景

霞が関の風景
(千代田区霞が関一丁目、2019.4.16撮影)
満開のヤエザクラ

満開のヤエザクラ
(千代田区霞が関二丁目、2019.4.16撮影)

 明治期の地勢図によると、日比谷公園の場所は「陸軍操練場(練兵場)」と記載されており、政府機関が立ち並ぶエリアと共に、藩政期における大名屋敷の広い敷地が転用された歴史を感じさせます。落花盛んなソメイヨシノの隣でふくよかな花をいっぱいに咲かせるヤエザクラが、春空に美しく映えていました。

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