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Sendaish Break

仙台の地域のちょっとしたお話です。

#1 清水沼(しずぬま)

原町商店街の北に、清水沼(一〜三丁目)という住居表示があります。一丁目にある清水沼公園は、かつてこの地域に実際に存在した「清水沼(しずぬま)」という沼沢のあった場所で、現在の住居表示に受け継がれているものです。清水沼は、もともとは大沼と呼ばれていたものが、1590(天正18)年、伊達政宗が岩切(宮城野区)方面へ従軍中にこの沼のほとりで軍容をととのえた際、澄明な沼に映った軍装が勇ましくかつ壮観であったので、「涼やかな沼」という意味の「すずぬま」といったと伝えられ、それが後世清らかな水の沼ということから「清水沼」の字が充てられ、「しずぬま」と呼ばれるようになったのだそうです。沼は干拓されましたが、現在では、穏やかな住宅地の中にある潤いある公園になっているのでした。しかし、今の住居表示はなぜか「しみずぬま」と読みます。なぜ、読み方が変わってしまったのか、ちょっと、気になっております・・・。

清水沼(しずぬま)跡

清水沼跡
(宮城野区清水沼一丁目、2003.7.20撮影)



#2 坪沼(つぼぬま)

太白区の南部、東北道仙台南インターチェンジのやや西から、県道仙台村田線を南西に進み、名取川を渡って峠を越えますと、周囲を穏やかな丘陵に囲まれた、小規模な盆地に到達します。この一帯が、太白区坪沼です。2000年国勢調査結果を引用しますと、人口894人、世帯数204の集落です。仙台の都心から12キロメートルという距離にありながらも、実にたおやかな田園風景が広がっている地域です。前述の県道が、宮城県県南地域と仙台とを結ぶ最短ルートの1つということもあり、県道の通行する車両の量は年々増加しているように見えますが、坪沼地域の自然豊かなたたずまいはそのままのように思います。

坪沼、という地名の起こりにつきましては、資料がないこともありはっきりとしたことを申し上げることができません。それをお断りした上で、勝手な妄想をさせていただけるとすれば、坪沼は4キロメートル四方程度の小盆地に位置する集落であり、ひょっとしたら沼沢も存在していたのかも知れず、そういった地勢が今日の美田に受け継がれているのでは、というのは考えすぎでしょうか。学生時代、地形学の野外実習で坪沼を訪れた際、アケビの実を見つけたことがあります。本当に、のびやかな空気に接することのできる場所です。

坪沼の景観

坪沼の景観
(太白区坪沼、2003.9.13撮影)


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