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シリーズ・クローズアップ仙台

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#91 シリーズ・地下鉄東西線を行く(4) 〜青葉山から八木山動物公園駅へ〜

 2014年12月23日、夜行バスで到着した早朝の仙台駅周辺は路面やペデストリアンデッキ上などにうっすらと雪が残っていました。前日の未明にまとまった降雪があった模様で、天候はすでに快晴になっていたものの、寒気の吹き出しにより時折雪が舞うことのある仙台の冬の典型的な気象状況がこの日も現れていたようでした。西口のバスプールとロフトの間に挟まれた一角ではクレーンが多く屹立し、地下鉄工事が進捗している様子を見て取ることができました。夜明けを待って、目下建設工事が進む地下鉄東西線のルートを跡づけるフィールドワークへと出発しました。

仙台駅東口

JR仙台駅東口・再開発が進む
(宮城野区榴岡一丁目、2014.12.23撮影)
仙台駅西口

JR仙台駅西口、地下鉄駅工事の様子
(青葉区中央一丁目、2014.12.23撮影)
南町通

南町通の向こうに見通す青葉山
(青葉区中央一丁目、2014.12.23撮影)
青葉通

青葉通
(青葉区中央二丁目、2014.12.23撮影)


ザ 仙台タワー
(青葉区一番町二丁目、2014.12.23撮影)
青葉通一番町

青葉通一番町駅周辺
(青葉区一番町三/二丁目、2014.12.23撮影)

 ペデストリアンデッキから地下鉄線が直下を通る南町通を眺めますと、ビルとビルの間に青葉山の山並みをわずかに見通すことができます。高層ビルによってことごとく埋め尽くされた仙台駅ですが、かつては市街地のスカイラインの向こうに、こうした町を取り囲む山々を見渡すことができまして、「杜の都」仙台のイメージを演出する要素となっていました。ビルとビルの間にようやく確認できる山肌も、うっすらと雪化粧しているように見えました。

 歩道の薄く残る雪を踏みしめて青葉通を進み、仙台駅から西へ最初の東西線の駅である青葉通一番町駅のある、青葉通と一番町通との交差点へと到達しました。前年(2013年)12月に東西線の全駅について正式駅名が発表されており、この駅も仮称の「一番町駅」から、バス停名としても認知度の高いこの駅名へと正式名称が変更されました。交差点の南には再開発ビルの「ザ 仙台タワー」が竣工し、低層部を占める商業施設「シリウス・一番町」も完成していました。仙台駅から中央通、一番町通を経て定禅寺通へと至る、メインとなる歩行者流動の動線からは南に外れた位置にある青葉通一番町はどちらかといいますと、やや人通りの少ない印象でしたが、地下鉄開業がそうした情勢にどのような影響を与えるか、今後も注視したい場所のひとつです。交差点北側の藤崎に隣接する部分では地下鉄出入り口の工事が目下行われており、劇的に変化を遂げようとする地域の態様を象徴しているように思われました。

大町

大町の景観
(青葉区大町一丁目、2014.12.23撮影)
大町西公園

大町西公園駅付近、再建中の「御譜代町」のモニュメント
(青葉区大町二丁目、2014.12.23撮影)
大町西公園駅

建設中の大町西公園駅入口(東1入口)
(青葉区大町二丁目、2014.12.23撮影)
大町交差点

大町交差点
(青葉区桜ヶ岡公園、2014.12.23撮影)
大坂

大橋へ至る下り坂(大坂)の景観
(青葉区桜ヶ岡公園、2014.12.23撮影)
大橋

大橋
(青葉区桜ヶ岡公園、2014.12.23撮影)

 青葉通一番町からは一番町を北へ入り、中央通を西へ、大町の通りを広瀬川方向へと歩きます。芭蕉の辻を経て晩翠通を横断、さらに歩きますと、西公園通と青葉通との交点に位置する大町西公園駅の場所までたどり着きます。こちらも出入り口の工事が進捗しているようで、藩政期は藩から商業的な特権を与えられていたことから「御譜代町」と呼ばれていた歴史をシンボライズした櫓のモニュメントも、地下鉄工事を受けて一時撤去されていたものが再建されようとしている様子も確認できました。大橋への坂道を足下に気をつけながら進み、冬の朝日に少しずつ輝き始める広瀬川を一瞥し、仙台市博物館の敷地から雪の積もる山道を進んで青葉城跡へ。東日本大震災による被災のため、訪問時は未だ市道は車両通行止めで、歩行者のみ通行可能な状態でした。

 快晴の空の下、朝焼けの陽光に照らされる仙台市中心部の風景は、雪をかぶった木々や屋根が美しく朝日を返して、凛とした美しさがありました。中心部に複数のクレーンが屹立するのが確認でき、仙台駅周辺の再開発と、錦町公園の隣接地で建築が進むNHK仙台の新会館によるものではないかと推察されました。国際センターの背後には、ほぼ竣工しているように見える東西線国際センター駅の駅舎と、広瀬川を渡河する橋梁部も目視することができました。

大橋

大橋から東西線広瀬川橋梁を眺める
(大橋より、2014.12.23撮影)
青葉山

中門跡石垣(修復中)
(青葉区川内、2014.12.23撮影)
青葉山

青葉山・本丸の石垣
(青葉区川内、2014.12.23撮影)
青葉城跡

青葉城跡から見た仙台市中心部
(青葉区川内、2014.12.23撮影)
八木山動物公園駅

八木山動物公園駅
(太白区八木山本町一丁目、2014.12.23撮影)
八木山動物公園駅

八木山動物公園駅(都市計画道路川内旗立線)
(太白区八木山本町一丁目、2014.12.23撮影)

 竜の口渓谷を渡る市道を進みながら、地下鉄東西線の西の起点となる八木山動物公園駅の場所まで歩きました。地下鉄駅としては日本最高所に位置することとなる同駅は、パークアンドライド駐車場を併設し、マイカーから公共交通へと乗り継ぐ拠点として位置づけられることが特徴となっています。周辺はベニーランドや八木山動物公園(2017年現在、「セルコホームズーパラダイス八木山」の愛称が命名権取得により通用中)といった娯楽施設のほか、市立病院といった施設もあり、同駅は市民に身近な施設へのアクセス手段としても機能することが期待されています。周辺ではバスプールや出入り口などの整備が進められているようで、都市計画道路に面して各種施設が配置される全容が想起されました。駅周辺は高度経済成長期に集中的に開発された住宅地域でもあり、パークアンドライドの拠点としての利用拡大のためには、この駅へのアクセシビリティをいかに担保するかが肝になるようにも感じられます。

 八木山動物公園駅を概観した後は、雪が積もる歩道をバス停まで歩き、青葉山方面へと進むバスを待ちました。


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