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シリーズ・クローズアップ仙台

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#12 仙台市街地を歩く(前) 〜生まれ変わる駅前エリアを中心に〜


新幹線と在来線3線、市営地下鉄線が収斂し、1日平均約76千人が電車に乗車する一大ターミナル、仙台駅(2002年度、JR東日本調べ)。1981年に完成したペデストリアンデッキは、いまや仙台駅前を象徴する景観として定着した感がありますね。その後も、市営地下鉄南北線の開通、仙石線地下化に伴う「あおば通駅」への延伸完成、さらには地下鉄東西線の着工を控えて、青葉通のケヤキ並木の姿に多少の変容が見られましたが、杜の都の玄関口として、仙台駅は豊かな都市景観を作り出し、都市を行き交う人々を見守っているように思えます。

現在、仙台駅北側のエリアにおける再開発が、急速に進んでいるようです。この地域には、駅前通に面して三井生命本町ビル(アジュール仙台;1995年竣工)、アエル(仙台市の再開発ビル、1999年竣工)などの大規模なビルが立地してきましたが、その動きは近年さらに加速し、花京院スクエア(2000年竣工)、東北電力本社ビル・エナジースクエア(2002年竣工)が登場して、花京院から本町にかけての仙台駅北部のエリアは、ここ5年ほどの間に一気に高層ビルが林立する地域へと変貌を遂げました。花京院地区では、さらに2棟の高層ビル(住宅、オフィス、商業、生涯学習機能等を組み合わせた陣容になる模様)が、2004年度着工を目途に計画されているとのことで、仙台市街地のホットな都市的エリアとしてのこの地域における再開発の動きは、とどまることを見せないような様相です。


JR仙台駅西口、アエルを望む

JR仙台駅西口とアエル
(青葉区中央一丁目、2002.1.18撮影)
東北電力エナジースクエアと花京院スクエア

東北電力エナジースクエア(左)と花京院スクエア(右)
(青葉区花京院一丁目、2003.7.21撮影)
建設中のNTTドコモ東北ビル

愛宕上杉通の前方に屹立するNTTドコモ東北ビル(建設中)
(青葉区本町三丁目、2003.7.21撮影)
花京院スクエア

花京院スクエア全景
(青葉区花京院一丁目、2003.7.21撮影)

かつては、鉄路と国道45号線という強大なエッジの影に隠れた、ひそやかな、少々意地悪な言い方をすれば「駅裏的」な、下町風情を醸している地域でした。掃部丁末無、元寺小路、茂市ヶ坂、光禅寺通、このような町名が並んでいた地域です。「末無」とは、「袋小路」の意味です。仙台駅東部の土地区画整理事業の進捗によって広瀬通が仙台来東口方面へつながる幹線道路として機能するようになれば、上述した再開発の動きとあいまって、この地域が劇的な変貌を遂げるであろうことは容易に想像されますね。今後仙台では最も注目される地域の1つといえるでしょう。

花京院スクエア、エナジースクエアの偉容を瞼に焼き付けながら、国道45号線、すでに取り壊され更地となったレジャーセンター前を通過し、愛宕上杉通を北に進むと、さらなる巨大ビルが建設されようとしているのが目に入ります。北一番丁通の北西角、旧仙台北税務署の建っていた敷地に、天を貫くようなビル−NTTドコモ東北ビル−が、まさに建設されているところでした。愛宕上杉通は、NHK仙台放送局の南あたりでわずかにカーブしています。そのために、仙台の中心部の愛宕上杉通からは、ほぼ正面にこのビルが屹立しているように見えます。仙台市街地における強力なランドマークとしての役割も十二分に担えるだけの迫力を持つビルであることは間違いなさそうです。

このビルのたもと、北一番丁を東へ進み、宮城県庁、青葉区役所の間を抜けて、仙台市役所前に到達、市民広場を通過し、緑の樹冠が鮮やかな定禅寺通の下を進みました。付近のビルの中には、ファサードをガラス張りにし、通のケヤキ並木をガラスに映りこませているものがあります。ケヤキ並木の美観をより奥の深いものにさせる工夫といえそうですね。実際に本当に美しく感じます。ケヤキの高齢化や、排気ガスのケヤキに与える影響を心配する声など、ケヤキをめぐっては様々な問題点が指摘されています。しかしながら、多くの仙台市民や仙台市を訪れる人々にとって、街中のケヤキ並木は誇りであり、また「杜の都」を感じさせるシンボルです。総合的に考えますと、やはり定禅寺通のケヤキ並木は仙台を象徴するものとして重要であり、維持していって欲しい財産なのかな、とも感じます。

ケヤキ並木がビルのガラスに映る

ケヤキ並木がビルのガラスに映る
(青葉区国分町三丁目、2003.7.21撮影)
せんだいメディアテーク

せんだいメディアテーク
(青葉区春日町、2003.7.21撮影)

晩翠通を横断して西に進むと、直方体のガラス張りのちょっとアバンギャルドな雰囲気を醸す建物が目に入ります。「せんだいメディアテーク」と呼ばれる建物で、市立図書館が入居しているほか、ギャラリースペース等として利用されている文化施設であり、広大で仕切りのないスペースが斬新なデザインのもと、シンプルな中に確保されて、展覧会等、多くのイベントが開催されているようでした。

上記した高層ビルの林立や、在仙中にできていれば間違いなくひっきりなしに訪れたであろうメディアテーク、そして仙台市人口100万人突破。これらはすべて、私が仙台を離れて以降に起こった出来事です。なぜ、私が仙台にいる間に・・・、という思いを抱きながら、西公園通を南し、大橋周辺の景観を撮影後、大町交差点に戻り、仙台城下町が誇るかつてのメインストリート「大町」を辿って見ることにしました。

(後編へ続く)


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