Japan Regional Explorerトップ > 地域文・関東甲信越地方 > シリーズさいたま市の風景・目次

シリーズさいたま市の風景

#6のページへ #8のページへ


#7 新都の南郊 〜個性化へ向けて〜

いよいよ、大宮と浦和へ差し掛かるのか、との期待を抱かせつつ、ここで一息置きまして、フォローしていなかったさいたま市南部についての若干の記述をしたいと思います。

地勢としては、大宮台地の最南端、洪積地が沖積地の中に埋没していく地帯にあたります。したがって、台地と低地との境になる傾斜地などにおいて湧水に恵まれることが多く、白幡沼などの沼沢地も見られます。また、自然に木々の生育にも有利な条件下にあるわけで、JR武蔵野線の車中から見た感覚では、東京に近いため高密な住宅地が広がっているというイメージ以上に、案外緑も多いな、そう思える土地柄でしたね。そして、この地域の最大の特色は、宇都宮線(京浜東北線)・埼京線の南北軸と、武蔵野線の東西軸との接点であるということですよね。乗客を満載にした列車が武蔵浦和、南浦和両駅に到着するたびに、乗り継ぎのため、多くの乗客の入替が見られました。

また、さいたま市役所で手に入れた「市報さいたま11月号」によりますと、この地域を中心とした「南区(仮称H区)」は、さいたま市に設置予定の9区の中で最大の人口を擁することになるとのことでした。このあたりにも、交通の至便さ、東京への近接性などの影響が表れているような気がします。

一方で、武蔵野線に乗車すると、さいたま市内でのドラスティックな景観の変化にも驚かされますね。荒川を渡って、JR西浦和駅までの間は、荒川土手の開放的な雰囲気から種々の土地利用が入り混じる景観への変化を見せ、JR武蔵浦和駅までの間は、雑多な景観の中で次第に住宅地としてのまとまりが見えるようになります。JR南浦和駅までの間は台地の枝葉をくりぬいたトンネルを経て、南浦和駅周辺では、ややまとまった住宅地に商業地が加わった副核的な地勢になります。JR東浦和駅までは、台地の下をくりぬかれたような路線を進むために、住宅地を見上げるような格好の景観が主となり、そして、東浦和駅を過ぎると、突然に見沼田んぼの低地帯となり、広大な空間が広がってくる・・・。

以上を考えると、この地域はよく言えば、台地と低地、住宅地、商業地などのさいたま市を特徴付ける多くの景観を少しずつ集めたような「縮図」的特質を持つ地域、また少々悪い言い方をすれば、目立った特徴なのない、都市と都市の間の住宅地域、ということになるのでしょう。武蔵野線の駅名を見ても、西浦和、武蔵浦和、南浦和、東浦和と(前後を含めれば、東所沢、北朝霞、東川口、南越谷も同類ですね)、なんとも個性に欠けた駅名が連続します。

今後は、新たな政令市の中で、特色ある地域の1つとして、どのようなまちづくりを進めることができるか、注目していきたいですし、期待大の地域であるとも思います。

                                    

このページのトップへ

#6のページへ

#8のページへ
目次のページへもどる

copyright(C)YSK(Y.Takada)2003 Ryomo Region,JAPAN