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#16 桐生市街地再訪 ~七福神めぐりに沿って見る町並み~

 2017年1月21日、地元太田市の北隣に位置する桐生市街地を訪問しました。渡良瀬川と桐生川が合流する扇状地状の平地に市街地が発達します。桐生が織物の町として成長し、興隆してきた歴史はこれまでもご紹介してきました。今回は市街地とその周辺に点在する、七福神を祀る寺院をめぐる「七福神めぐり」を辿ることにより、伝統のある桐生の町並みを改めて見つめます。JR桐生駅構内にある「桐生観光物産館 わたらせ」にて地図を受け取り、散策をスタートさせました。

JR桐生駅北口の商店街

JR桐生駅北口の商店街
(桐生市末広町、2017.1.21撮影)
西桐生駅

上毛電鉄・西桐生駅
(桐生市宮前町二丁目、2017.1.21撮影)
光明寺境内からの眺望

光明寺境内から市街地を望む
(桐生市宮本町三丁目、2017.1.21撮影)
宮本町和洋折衷住宅群の景観

宮本町和洋折衷住宅群の景観
(桐生市宮本町二丁目、2017.1.21撮影)
西宮神社境内

西宮神社境内
(桐生市宮本町二丁目、2017.1.21撮影)
山手通り

山手通りの風景
(桐生市西久方町二丁目、2017.1.21撮影)

 桐生駅の北口周辺はアーケードのある密度の高い商店街が形成されていまして、機業の町として栄えてきた都市基盤が現在に息づいています。モータリゼーションの進展による郊外における商業集積や購買行動の多様化が久しい現在にあっても、そうした都市景観が残っていることが、桐生の都市としての中心性がどのようなものであったかを何よりも雄弁に物語っています。駅前のロータリーから北へ続く「山手通り」を進みますと、程なくして上毛電鉄の起点駅である西桐生駅へと至ります。西桐生駅はマンサード屋根の洋風のファサードが目を引く駅舎で知られます。さらに山手通りを歩いて、宮本町二丁目方向へ左折、市民に身近な山として親しまれる吾妻山を望みながら穏やかな住宅街に分け入ります。桐生が岡公園へと進む交差点を西へ、水道山公園方向へさらに行くと、高台に鎮座する光明寺へと到着しました。弁財天を祀る古刹の境内からは、穏やかな山並みを背景に雄々しく広がる桐生の市街地をくっきりと眺望することができました。

 和洋折衷の民家が点在する宮本町の特徴的な住宅地域の中、元来た道をとって返して再び山手通りを北へ歩いて行きます。市街地の外縁の山裾を進む道路は緑も間近で、水路を覆うようにつくられた歩道は車道と明確に分断されてるため、気持ちよく散歩を楽しむことができるルートとなっています。毎年11月19・20日に桐生ゑびす講が盛大に開催されることで知られる西宮神社は隣接する美和神社とともに穏やかな社叢で覆われていまして、都市と近接した瑞々しい風景が形づくられてています。七福神めぐりの寺院は山手通りに沿って、妙音寺(寿老人)、法経寺(大黒天)、青蓮寺(福禄寿)と続いていきます。どのお寺も山裾に穏やかに佇んでいまして、谷口に発達する町並みを見守っているようでした。機業の町桐生を特徴づける事物の一つであるのこぎり型の屋根なども見えて、両毛地域の中でも随一の歴史を持つ都市の雰囲気に触れることもできます。梅やロウバイなどの花も青空に映えます。

妙音寺境内から望む市街地

妙音寺境内から望む市街地
(桐生市西久方町一丁目、2017.1.21撮影)
梅田町一丁目付近

梅田町一丁目付近の風景
(桐生市梅田町一丁目付近、2017.1.21撮影)
鳳仙寺参道

鳳仙寺参道
(桐生市梅田町一丁目、2017.1.21撮影)
鳳仙寺

鳳仙寺
(桐生市梅田町一丁目、2017.1.21撮影)
西方寺境内

西方寺境内
(桐生市梅田町一丁目、2017.1.21撮影)
桐生天満宮

桐生天満宮の鳥居越しに桐生本町を望む
(桐生市天神町一丁目、2017.1.21撮影)

 山手通りから梅田方面へ進む県道に合流し、市街地の北から続く梅田地域の住宅地を進みます。恵比寿を祀る久昌寺は県道に接して立地していて、桐生川を介して東側の丘陵地帯を背にしていました。徐々に住宅地の間に畑が広がるようになった辺りから県道を逸れて小流に沿うような市道を西へ分け入りますと、参道に杉木立が並ぶ鳳仙寺(毘沙門天)の境内がが眼前に広がってきます。十二支の彫刻がそれぞれが指す方角に設えられた山門をくぐりますと、そこには木々の影と主観の間から覗く青空から差し込む光とが深閑の風景が作り出されていました。前日に降った雪がわずかに地面に残っていまして、冬の凛とした情景にも触れることができました。七福神めぐり最後の西方寺(布袋尊)は、鳳仙寺と同じ傾斜地にありながらも、こちらは対照的に一面に大空の下に境内地が広がる場所に南面していました。

 西方寺からの帰路は県道をそのまま市街地へ戻り、群馬大学のキャンパスや桐生天満宮のある場所へと進んで、重要伝統的建造物群保存地区にも選定されている桐生新町地区を歩きました。本町地区の伝統的な景観から、両毛線の鉄路に近づくにつれて現代的な建物が増えていく光景に、近世から近代を経て現代まで都市としての歴史を紡いできた桐生の歩みを見た思いでした。


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