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自己紹介

 私は、大学時代(1993.4〜1999.3)に仙台市に居住したことがあるものの、それ以外の期間はずっと群馬県太田市に居住しております。
 
 私に様々な地域性へのまなざしに気づかされたのは、仙台時代の経験が大きいと感じています。まず、日々の生活で身近に接するメディアの態様がまるで違っているのに驚きました。群馬県の場合、在京のキー局(日本テレビ、TBSテレビ、フジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京)の映像がそのまま入り、「関東地方1都6県に山梨県、静岡県伊豆地方」という地域スケールで天気予報などが報道されるのに対し(NHKも、同様の地域スケールで東京からの放送です)、宮城県では、仙台にあるキー局の系列局が、宮城県のみを対象として、地域に密着した放送をしているのですね。独立UHF局である群馬テレビはありますが、在京キー局の系列局でないため、基本的に県域に絞った、綿密な情報提供がテレビでは放送されない群馬県の現状と比べて、なんて恵まれているのだろう、と思ってしまったんです(現在では、NHKが一部県域放送を行っています)。

 大学2年後半になって、晴れて「地学専攻」から「地理学専攻」へと進み(私の大学では、まず「理学部地学科」として学生を募集して、学生は地理学、地質学、岩石鉱物学を一緒に学びます。その後、希望に応じて上記3分野に専攻が分かれます)、さらに地理学全般を広く学習した後、地形学、気候学、人文地理学の3分野の中から、人文地理学の分野を選択して、その中でも都市地理学に関心を持ち、都市と都市との結合関係を研究するようになりました。当時の指導教授が、「都市システム」をご研究されており、戦後の都市の成長と、中枢管理機能の集積との関連、3大都市(東京・大阪・名古屋)−広域中心都市(札幌、仙台、広島、福岡)−県域中心都市、という都市の階層関係などをご教授いただくなかで、先生から「君の住む両毛地域は、県境を越えて一体性があるようだが、企業支店の営業テリトリーなどを調べてみたらおもしろいのではないか」という示唆をいただき、卒業研究として「栃木、群馬県における地域的都市システム−県境を越えた都市システム形成の検討−」に取り組みました。その結果は、両県においても、日本の他の地方と同様、県域中心都市(宇都宮、前橋、高崎)がそれぞれの県域を統括する都市システムが基本だが、多くの企業では両毛地域において県境にとらわれない営業活動を展開しており、一部両毛地域を管轄区域とする事業所が足利や太田に立地するなど、経済地域としての「両毛地域」の存在もまた認められるというものでした。

※上記研究結果の概要については、愛知大学綜合郷土研究所(1998)『県境を越えた地域づくり−「三遠南信地域」づくりを中心に−』岩田書院 にちょっと載ってます・・・。

 また、地理学を学ぶ中で、地域の見方についても徹底されたように思います。主観からではなく、あくまで客観的な事象を積み重ね、理論的な思考の中から、その地域を描き出す努力をすること。単一の事象から安易に結論を導くのではなく、あくまで冷静に事実を見つめながら、結論を導く。そんな中から、さまざまなスケール、視点から地域を見つめる楽しさを知るようになったのかな、と考えています。同時に、あくまで初歩の初歩なのですが、地形学や気候学について学習できたことも、私の地域観をつくりあげる大きな後押しになっていると思います。

 1997年からは、同じ大学で2年間さらに研究を続けました。その時の研究は、前橋・高崎都市圏に着目し、パーソントリップ調査の結果から、日常的な人々の動きから描き出した都市圏の構造を分析したもので、「前橋・高崎都市圏におけるパーソントリップからみた日常生活圏構造」として大学に提出しました。都道府県スケールでは、県庁所在都市を中心とした階層的な都市システム構造が卓越していても、人々の生活行動に着目すると必ずしもそういった階層的な構造だけではなくて、中心市街地以外の地域においても、商業機能や製造業が集積して多くの通勤者を集めて、相対的に分散的な都市圏構造が形成されているという結論でした。

 1999年4月からは、地元に戻り、就職して現在に至っております。現在、これまでに培った地域への視点を武器に、全国の地域を巡りながら、その地域の素晴らしさを体感することがライフワークとなっています。

 今まで、地域をさまざまなスケールで、いろいろな視点から、とやや抽象的な言い方をしてまいりましたが、私の文章をお読みいただければ、その意味するところがお分かりいただけるのではないかと思っております。地域を見つめる眼差しを深めることは、自分の地域を知ることにつながり、やがてはその地域の経営に多大なるプラスの効果をもたらすと確信いたしております。

 以上の信念をもちながら、私は日々、日本の諸地域を見つめていきたいな、と思っております。



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