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奈良クルージング


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#11 奈良・西ノ京を歩く 〜薬師寺、唐招提寺、歴史ある大寺を訪ねる〜

 2019年7月15日、大和郡山市街地を散策した後、近鉄郡山駅から2駅移動して西ノ京駅で下車し彷徨を続けました。西ノ京はその名のとおり、かつて奈良市域に存立した平城京の西側に当たることから名付けられた地域名で、それは古来より呼び習わされているものであるようです。平城京は現在の奈良市の中心市街地である東大寺や興福寺の門前町として残った外京を除き、大半の地域が遷都後農地などに変容しましたが、この西ノ京エリアには薬師寺や唐招提寺などの大寺があって、往時を偲ばせています。

薬師寺近くの町並み

薬師寺近くの町並み
(奈良市西ノ京町、2019.7.15撮影)
薬師寺

薬師寺・南門付近の風景
(奈良市西ノ京町、2019.7.15撮影)
薬師寺・南門

薬師寺・南門
(奈良市西ノ京町、2019.7.15撮影)
薬師寺・中門と西塔

薬師寺・中門と西塔
(奈良市西ノ京町、2019.7.15撮影)
薬師寺・金堂

薬師寺・金堂
(奈良市西ノ京町、2019.7.15撮影)
薬師寺・西塔

薬師寺・西塔
(奈良市西ノ京町、2019.7.15撮影)

 西ノ京駅から東へ出れば、薬師寺の北受付は間近です。この時は、薬師寺の壮大な伽藍配置を実感するために南側の入口から境内へ進みました。西ノ京の集落も奈良らしい昔ながらの建物が交じる風景が残っていまして、そうしたしなやかな家並みの下を薬師寺の南門へと進みました。薬師寺の鎮守社である休ヶ岡八幡宮の接する森に導かれるように、もともとは薬師寺西院の門であったという南門の脇より境内へ入ります。

 眼前には1976(昭和51)年再建の金堂の壮麗な結構が目に入ります。国宝の薬師三尊像は金堂内に安置されています。薬師寺は戦国時代の兵火などにより多くの堂宇を失い、わずかに東塔のみが創建時からの命脈を受け継ぐ建造物です。訪問時は東塔は解体修理が行われていましたが、やはり再建された西塔に、東塔の音楽にも形容される景色を想像しました。

薬師寺・大講堂

薬師寺・大講堂
(奈良市西ノ京町、2019.7.15撮影)
薬師寺北、土塀の風景

薬師寺北、土塀の風景
(奈良市西ノ京町、2019.7.15撮影)
唐招提寺へ向かう道筋の風景

唐招提寺へ向かう道筋の風景
(奈良市五条町、2019.7.15撮影)
若草山を望む

若草山を望む
(奈良市五条町、2019.7.15撮影)
唐招提寺南側の風景

唐招提寺南側の風景
(奈良市五条町、2019.7.15撮影)
唐招提寺・南大門

唐招提寺・南大門
(奈良市五条町、2019.7.15撮影)

 金堂や塔を回廊で囲む奈良時代の仏教寺院の伽藍配置の特徴を残す薬師寺を拝観した後は、北へ続く道路を経て、鑑真和上が開いた名刹・唐招提寺へと向かいました。唐招提寺へのルートは、薬師寺の境内に接する部分に土塀や松波が続く風景や、大和棟に代表される奥ゆかしい集落景観が濃厚に残されている中を進んでいきます。若草山を遠望できる場所もあって、どこまでも大和盆地を代表する風景に出会えることに、とても心を揺さぶられます。そうして到達した唐招提寺の門前は、豊かな松並木の下、薬師寺とはまた違った厳かな雰囲気を漂わせていました。

 南大門をくぐりますと、寄棟造の均整が取れた結構を擁する、金堂の建物が目に入ります。金堂は、背後に建立された入母屋造の講堂と共に奈良時代より続く建物です。唐招提寺の境内にはふんだんに木々が植えられていまして、それらによって諸堂が包まれているのが特徴です。奈良時代における寺院の特質と、庭園美を醸し出す中世以降の寺院の様式美とが、しなやかに交錯するような修景がなされているようにも見受けられました。


唐招提寺・金堂

唐招提寺・金堂
(奈良市五条町、2019.7.15撮影)
唐招提寺・講堂

唐招提寺・講堂
(奈良市五条町、2019.7.15撮影)
唐招提寺境内

唐招提寺、境内の景観
(奈良市五条町、2019.7.15撮影)
唐招提寺・開山御廟

唐招提寺・開山御廟
(奈良市五条町、2019.7.15撮影)
唐招提寺

唐招提寺・緑濃き境内
(奈良市五条町、2019.7.15撮影)
近鉄西ノ京駅

近鉄西ノ京駅
(奈良市西ノ京町、2019.7.15撮影)

 薬師寺、唐招提寺と拝見した後は、西ノ京駅へと戻り、この日の奈良における活動を終えました。盛夏の下の奈良の再訪は、暑さの中ということや、一日という時間的な制約もあって要所を掻い摘まむように概観する訪問とはなりましたが、その限られた訪問の間に随所に認めることのできた、大和盆地ならではの市街地・集落の風景や、仏教建築の美観に感嘆しながらの探索となったように思われました。

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