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関東の諸都市・地域を歩く


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#169 ロウバイの咲く宝登山を歩く ~快晴の冬山のしなやかさに触れる~

 2020年2月1日、到着した秩父鉄道・長瀞駅前は冬晴れの空の下でした。レトロな木造の駅舎は松の木に寄り添うようにあって、自然に溢れるこの町の玄関口として、今日も多くの人々を迎え入れていました。駅前からまっすぐに伸びる道路の先には、国道140号につながっていまして、その信号の元には大きな白い鳥居が建てられています。鳥居をくぐる道路は宝登山へと向かっていまして、その山麓に鎮座する宝登山神社の参道となっています。

長瀞駅前から宝登山を望む

長瀞駅前から宝登山を望む
(長瀞町長瀞、2020.2.1撮影)
長瀞駅

長瀞駅
(長瀞町長瀞、2020.2.1撮影)
宝登山神社の大鳥居

宝登山神社の大鳥居
(長瀞町長瀞、2020.2.1撮影)
宝登山神社へ向かう参道

宝登山神社へ向かう参道
(長瀞町長瀞、2020.2.1撮影)
宝登山神社

宝登山神社
(長瀞町長瀞、2020.2.1撮影)
道路脇の残雪

道路脇の残雪
(長瀞町長瀞、2020.2.1撮影)

 参道はゆるやかな登り坂です。参道に沿って桜が植えられていまして、背後の山々の木々や竹林と穏やかに寄り添っていました。参道の向かう先には、ゆるやかなスカイラインを持つ宝登山が横たわっています。標高468メートルあまりのこの山は、周囲を山々に囲まれた長瀞の地域にあって目立つピークを持っていまして、古来よりこの地にくらす人々にとって親しみのある存在であったのでしょうか。その登山口に程近い場所にある宝登山神社は、みずみずしい杉木立に包まれた石段を上った先に社殿を構えています。現在の本殿は1874(明治7)年に完成した権現造です。神社への参詣を終えた後は、山頂へ続く山道の入り口へと歩を進めました。数日前の降雪はほぼ融けていましたが、除雪したものの残りと思われる雪がわずかに道路脇に残っていました。

 宝登山の山頂へは、ロープウェイを利用しても向かうこともできます。その宝登山麓駅へとつながる分岐点を横目に見ながら、この日は山道を利用し徒歩で山を登っていきます。周囲は葉を落とした落葉樹の森が広がっていまして、木々が切れる場所では視界が広がって、周りの山々のようすも見通すことができます。宝登山の山頂には宝登山神社の奥宮が祀られていまして、山道はその参道ともなっています。参道に沿って、「○○(漢数字が入る)丁目」と刻まれた石柱があるのが目に留まりました。冬の山を覆う木々はすっかりと葉を落として、穏やかな日の光をまとった青空に向かっています。新緑の森が持つ、生命力に満ちた輝きとはまた違い、冬の森の佇まいはその姿そのものに力強さが感じられて、次の目覚めの季節に向けてじっと力を蓄えているように感じられます。

山頂へ向かう山道

山頂へ向かう山道
(長瀞町長瀞、2020.2.1撮影)
冬の森と山並み

冬の森と山並み
(長瀞町長瀞、2020.2.1撮影)
丁石

丁石で、奥宮への参道であることを実感
(長瀞町長瀞、2020.2.1撮影)
宝登山神社奥宮

宝登山神社奥宮
(長瀞町長瀞、2020.2.1撮影)
宝登山のロウバイ園

宝登山のロウバイ園、秩父盆地と武甲山を望む
(長瀞町長瀞、2020.2.1撮影)
周囲の山並み

周囲の山並み
(長瀞町長瀞、2020.2.1撮影)

 標高が増すにつれて眼下の荒川流域の長瀞の風景が見通せるようになります。宝登山頂駅近くを過ぎ、石段を上った先には小ぢんまりとした奥宮があって、この地を踏む参詣者をこの上のない優しさで見守っていました。積雪の影響でぬかるみのある山道に足を取られないように気をつけながら、南から東側の斜面に広がるロウバイ園へ。秩父盆地やそのシンボルである武甲山へも視界が利く山肌には、一面に黄色の花をつけた蝋梅が植えられていまして、冬のあたたかい青空に照らされて、しなやかな色彩を見せてくれていました。盆地の周りは様々な稜線を持つ峰々に抱かれながら、冬の里山の美しい風景にしばしその身を委ねていました。



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