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都道府県花暦

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41.ソメイヨシノ(東京都)

日本の春をあでやかに、華麗に彩る桜は、日本を代表する風物として、これ以上ない美しさ、やわらかさを見せてくれます。桜は、春、いっせいに桜色の花弁を枝一杯に溢れるように燃え上がらせます。川面に映る桜色、春霞にぼやけるような桜色、そして夜のぼんぼりの光にうっすらと照らされる桜色、そのどれもが季節の移ろいの中で刹那の輝きを見せます。そして、その美しさをそのままに、はらはらと、散っていきます。咲き始めから咲き終わりまで、それぞれに微妙な美しさを見せながら、多くの人々の心を捉え、魅了します。桜が咲く季節は、入学、卒業、就職、そして退職など、人々の出会いと別れのイベントとも重なります。そういった貴重な思い出の中にも、きっと桜はたおやかな花を咲かせているのではないでしょうか。

そんな桜の代表格は、やはりソメイヨシノですね。各地で植栽されていますし、毎年開花予想がなされるのも、ソメイヨシノです。ソメイヨシノは、1984(昭和59)年に、東京都の花に制定されました。

ソメイヨシノ

ソメイヨシノ(YSK画)

ソメイヨシノは、その名から吉野山のヤマザクラと同種と思われているかもしれませんが、実際はオオシマザクラとエドヒガンザクラの交配種とされています。江戸末期から明治にかけて、東京・染井(現在の豊島区駒込)の植木屋が改良し、「吉野桜」の名で全国各地に売り出したものであるとされています。後に、本家の吉野のヤマザクラと紛らわしいということで、発祥地の名前を冠した「染井吉野」という名前が与えられたといわれているのだそうです。成長が早く、花がいっせいに咲き、かつ美しいことから急速に全国に普及しました。ソメイヨシノは、自ら種を結ばない植物です。日本各地にあるソメイヨシノはすべて挿し木や接木によって増殖したものです。各個体は、遺伝子的には同一のものであるため、ソメイヨシノは同じ場所では、ほぼ同じ時期に花を咲かせます。

日本の春を穏やかに包み込むソメイヨシノの木は、1912(明治45)年に海を渡り、アメリカ合衆国の首都ワシントンのポトマック川に植栽され、以来日米友好親善の象徴となりました。人々の記憶にあたたかい春の日差しそのままの温もりを届けながら、ソメイヨシノは毎年私たちに豊かな桜色を届けてくれています。

君の名は染井吉野の夜の風


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