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都道府県花暦

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16.リンドウ(長野県、熊本県)

高原の秋を代表する花の1つに、リンドウがあります。草色の高原が徐々に色褪せて、秋色に深まりつつある大地のあちこちに、星が瞬くような、美しい蒼色の花が点々と広がる様子は、秋の空気の爽快さのもとで、ひときわすっきりとした、さわやかなイメージが重なります。標高の高い場所では8月下旬から花を開き始め、9月から10月にかけて、高原の秋を彩ります。紫や青色のものが一般的なのですが、中にはピンク色や白色のものもあるようです。。30から60cmくらいの茎の上に、筒状の花がかたまってつきます。中には、1mくらいのものもあるようです。

このようなさわかな印象の強いリンドウですが、漢字で書きますと「竜胆」となり、途端にいかめしいイメージになってしまいます。「リンドウ」というの名前自体、この「竜胆」の音読みである、「りゅうたん」がいつの間にか「りんどう」になったらしいのですから、おもしろいですね。なぜこのような漢字が充てられたかにつきましては、この草の根が胆汁のように苦く、その苦みが特別に強いことから、最上級を表す竜の字を冠して「竜胆」と名づけられたとも、 また単に竜の胆のように苦いから、との説もあるようです。このように、リンドウは観賞用ということ以上に、薬用植物として古くから用いられてきました。リンドウの根が苦味健胃剤としての薬効を持つのだそうです。


リンドウ

高原のリンドウ(YSK画)

長野県は隣県ですのでたまに足を運ぶのですが、美ヶ原での道端に咲いていたリンドウの透き通るような蒼さは今でも強く印象に残っています。空となだらかな稜線とがくっきりとしたラインで隣り合う、クリアな空気の高原の下で、リンドウはいっそうの透明感を演出し、秋のすがすがしい高原の色をつくり出しているかのようでした。秋の九州を訪れたことは残念ながらまだないのですが、熊本・阿蘇の高原でも、11月に入るといっせいにリンドウの花が開くようですね。大観峰から見た阿蘇の風景は雄大の一言に尽きますが、そういった壮大なスケールのもとで、リンドウの蒼は極上の輝きを見せることと思います。

最近は、生花店でもリンドウの切花をよく目にするようになりました。ほんとうに、涼やかな花です。関東では9月頃が切花のリンドウの旬でしょうか。部屋に飾っておくだけで、和やかな気持ちになれるんですよね。

竜胆の空に一つのくもりなし

※上の絵は、高原に咲くリンドウをイメージして描いたものでして、特定の場所をモチーフにしたものではありません。


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