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都道府県花暦

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19.ブンゴウメ(大分県)

梅のお話に続いて、その梅の仲間である、大分県の花「豊後梅」を取り上げたいと思います。大分県にある梅をそう呼ぶ、というのではなくて、れっきとした種です。梅の変種の一つで、香り高い大型の花をつけます。その実も直径4〜5センチメートルにもなります。果肉が厚いわりに種子は小さく、かつ酸味が少ないため、梅干などにしてもたいへん風味がよく、果樹として栽培されます。ただ、豊後梅は他花受粉かつ花粉量が少ないということで、一般の梅よりも実の収穫量は少ないのだそうです。

豊後梅は、その名のとおり豊後国(今の大分県の大部分を占めます)発祥とされていまして、江戸期には杵築松平家から徳川将軍家にその実の砂糖漬けが献上されているなど、古くから豊後の名産として知られていたようです(この縁で、豊後梅は杵築市の花にも制定されているようです)。開花の時期は、普通の梅より20〜30日ほど遅いそうで、3月の上旬から中旬にかけて花が開きます。花は花弁が幾重にも重なる八重咲きで、ボリュームのある、豊かな大輪の花を咲かせます。花弁はうっすらと淡紅色を帯びていまして、しっとりとした風合いながらもしっかりとした花をたくさんつけるようすは、実に優美な雰囲気です。県ホームページには「清楚で優美な花」と形容されていますね。まさにそのとおりの気品溢れる花であると思います。

ブンゴウメ

豊後梅(YSK画)

大分市の護国神社は、豊後梅の名所として知られています。境内には豊後梅を中心に200本ほどの梅の木が植栽されているようで、春には大輪の花を咲かせて、甘美な香気を漂わせています。また、同じ大分市の南部にある吉野梅園も、400本ほどの梅が咲きそろう梅の名所です。こちらには、臥龍梅などの特色溢れる梅に混じって、大分原産の豊後梅も存在感を示しているようです。

梅は、日本にとって春が本格的にやってきたことを告げる花です。春も本番になって、その木の下で毎年騒ぎが繰り広げられる桜の木とは違って、穏やかに、そして静かに花の色や香りを鑑賞できるということも、梅の魅力かもしれません。長い冬が明け、いよいよ生命が活動を始める春に向かい、心和やかに眺める梅の花の色彩は、どこまでもたおやかで、どこまでも晴れやかです。


豊後梅の香る空はただ白きなり

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