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都道府県花暦

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27.ボタン(島根県)

晩春から初夏にかけて花季を迎える花の話題を続けます。島根県が県の花と位置づけるボタン(牡丹)は、この季節、あでやかな花弁をいっぱいに広げた、大きい花を咲かせまして、春から夏へと季節をバトンタッチさせますね。その姿は古より優美なイメージで捉えられていたようで、シャクヤク(芍薬)やユリ(百合)の花とともに、美人の形容詞としてもしばしば用いられてきた花でした。園芸の分野でもそのゴージャスな花がたいへんもてはやされているようで、多くの品種がつくられておりまして、実に多様な色彩や形の花を楽しむことができるようですね。

島根県の花として、このボタンの花が選定された経緯は、島根県のホームページに詳しいのですが、他の多くの府県と同様に、1950年代に行われた「郷土の花」を選ぶ運動のなかで、最終的に決定されたものであるようです。もちろん、お話しましたとおり、たくさんの家庭において広く栽培され身近な花であるということもあると思いますが、島根県中海に浮かぶ大根島は、ボタンの一大産地として著名でして、このことも手伝ってのことでもあったようです。以下、島根県ホームページの記述をもとに、お話を進めてまいりたいと思います。

ボタン

ボタン(YSK画)

この大根島のぼたんは全国的に有名だそうで、その栽培の歴史はおよそ300年前にも遡るのだそうです。大根島は溶岩隧道があります。その溶岩と火山灰からなる弱酸性の土壌が、草木の栽培には非常に適していたということもあり、ほぼ全島において、ボタン栽培が盛んとなりました。

旧藩時代からあるものを”地ボタン”というのに対し、明治時代に京都・大阪そのほかの地方から移入されたものを”上方ボタン”と区別します。”地ボタン”は4月が花盛りで、花の色は暗い赤紫色をしており、花びらは単弁でぼたん色という絵具の名称もこの花からきています。”上方ボタン”は地ボタンより10日ほど遅れて開花しまして、上に描きました絵のように、白、淡紅、濃い紅から深紅などのバラエティ溢れる色彩の花をつけるほか、花の形も一重のものから八重のものまで豊富です。現在、大根島で育てられているボタンはおよそ300種。4月下旬から5月上旬にかけて、島はまさに豪華絢爛たるボタンの花に彩られます。

小雨なる空に傘差す牡丹かな

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